心神よ高く飛翔せよ

2009/11/21 22:30


 甦る零戦、読み終えた。残念ながら、期待したほどの本ではなかった。第一に、純国産の第5世代戦闘機が誕生できるかどうかについて調査、検証した本であるわけだが、細かい技術的情報というものがなくて、1のものを10にしたような、質の悪い拡大コピーを見ているような印象を免れなかった。
 そもそも力点が防衛を巡る政治に置かれていて、技術の方は明らかに取材不足というか軽く流す程度にしか書かれていない。いくら防衛上の機密に関わる事項があるといっても、中国などはこの種の本で語られるであろう情報などはるかに越えるものを入手しているに違いないから、その気で取材に臨みさえすればもっともっと読者サービスも出来ただろうにと思う。でもまぁ、この辺のことはwiki
ででも調べればすぐ分かることだから、大したことではない。
 現代の防衛が制空から制宙に変ってきていることなどは、わたしなどにもよく分かるし、これからの戦闘機、戦車などは無人化が常識になってくるだろう。そのうちにロボットが戦争をする時代もくるに違いない。
 心神の誕生は、日本の航空技術が甦るかどうかの試金石である。と同時に、アメリカの槍に対し、専守防衛と常に盾の役割を荷わされてきた日本が、アメリカに頼らず敵の核発射に対し、先制して策源地を破壊するだけの航空戦力を持つ気概があるかどうかが試されているのだともいえる。
 零戦零式艦上戦闘機は、日本の航空技術の高さを世界に知らしめた、実在した戦闘機である。この世に生まれ、死んでいった戦闘機である。
 果たしてコードネーム心神で呼ばれる零の遺伝子を継ぐ第5世代の純国産ジェット戦闘機は誕生するのか。わたしは、その日が来ることを期待せずにはいられない。日の丸を両翼に描いた心神という名のジェット戦闘機が高く高く舞い上がる日が来ることを。